おひとり

できる限りひとりで楽しむための情報やプログラミング情報など。

【体験記】ブラック企業を退職。ハロワで離職理由変更から失業給付、再就職手当が給付されるまでのこと。

f:id:hitoridehitode:20190630165312j:plain

ブラック企業を退職し、ハローワークにて離職理由を「正当な理由のある自己都合退職(33)」に修正、失業給付の受け取りから再就職手当が給付されるまでの体験記です。
申立書に具体的にどのようなことを記載したか、また離職理由を変更(特定理由離職者に)するためにどのような手続きをし、どのような準備をしたかなどを記載します。

はじめに

私は2019年3月まで、1年間いわゆる「ブラック企業」でITエンジニアとして働いておりました。
そして、体調に異常をきたし、退職。
急な出来事だったこともあり、雇用保険の失業等給付(以下失業給付という。これは一般に失業手当雇用保険と言われています。)を申請しました。
再就職が早く決まらなかった場合は準備する期間も考慮すると、金銭的に困窮する可能性が考えられたからです。
ただし、失業給付は申請しても離職理由が「自己都合退職」だった場合、3ヶ月の給付制限があります。つまり、申請して3ヶ月間は給付されないということです。

私の場合は急だったため、すぐ次の就職先を決めるための準備ができなかったこともあり、それでは金銭的に困ってしまう可能性が。
その際、離職理由はハローワークにて、退職後でも変更することができます。簡単にいうと、会社を退職する際、退職願に「一身上の都合により」と書いた場合であっても、正当な理由とその証拠をハローワークに提出することにより、それが認められれば離職理由を後から変更できる場合があります。

後で詳しく述べますが、私の場合は主に不適切な雇用契約と、それによる残業代や深夜手当の不払いなどがありました。
そして、様々な手続きを通して、失業給付と再就職手当を受け取ることができました。今回の件で、この社会の仕組みにとても感謝しています。

この記事では、上記の実現のために私がどのように手続きをしたかということを体験記として紹介します。
現状、ブラック企業で働いており、退職を検討している方、また、ブラック企業の退職にあたり、本来は正当な理由があったにも関わらず「一身上の都合により」と記載して退職してしまい困っている方に参考にしていただければ幸いです。

申請の方法はさまざまなブログで紹介されていますが、人それぞれの理由や状況を知ることは参考になるのではないかと考えました。
そのため、できるだけ詳しく書きます。
長文になったり読みにくい箇所が多々あるかと思いますが、実際に困っている方に向けて、情報量ができるだけ多くなるよう、なるべく具体的に事実を書くことを心がけておりますので、許していただければと思います。
(私の経験から、実際に困っているときは些細な情報でも得たいと考えることが多かったからです。)
ですので、不要なセクションがあった場合は読み飛ばしていただければと思います。

お断り1:企業名は伏せます。私は良く経験などを話していますが、働いていた企業名は必ず伏せています。ここでは便宜上、企業Aとします。
お断り2:離職理由の変更は、ハローワークによる個別の事案の判断になります。

初回のハローワーク来所

最初にハローワークに来所したのは2019年4月5日のことです。 失業給付を得るには、まずはハローワークに来所し、離職したことを証明して登録する必要があります。
※ハローワークは住んでいる自治体のホームページを確認するなどして、まず初回の来所にて持参するもの等を確認してください。

私は、まずはハローワークにて、雇用保険の失業給付を得るにあたり離職理由を変更したい旨、職員に相談しました。
すると、職員からは以下のような案内がありました。

  • 2019年4月15日に雇用保険の説明会を行うので必ず出席すること。
  • 離職理由の変更に関して、申立書にどのような理由で離職理由を変更したいのか記載すること。
  • 申立書に記載した新しい理由を証明するための客観的資料や証拠を用意すること。
  • 資料はできるだけたくさんあった方が良い。
  • 申立書と資料は説明会当日に提出すること。
  • 申請したとしても、実際に判断が下されるまで時間がかかることが予想される。

ここで、雇用保険を受給のための説明会があることを知りました。そして、その日までに申立書とそれを証明するための資料を用意する必要があることをしりました。

申立書および新しい離職理由を証明する資料の用意

先ほど記載したとおり、離職理由を変更するためには、それを申告するための申立書や、それを証明する資料を用意する必要があります。
その前に、私がなぜ退職にいたったのか、簡単に紹介してみたいと思います。不要な方は読み飛ばしてください。

退職理由

一言でいうと、不適切な雇用契約と、それによる業務過多(長時間労働)およびパワハラにより体調をくずし、動けなくなったことにあります。
より詳しく述べたいと思います。

不適切な契約

私は事業場外みなし労働時間制という雇用契約を結んでいました。
詳しい説明は検索するといくらでも出てきますが、簡単に言うと、

  • 事業場外(オフィスの外)で業務をする人については、正確に業務時間を把握できない。
  • 正確に業務時間を把握できないから、1日の所定時間働いたものとみなす。
  • 正確に業務時間を把握できないから、残業時間も把握できないため、支払わない。

概ね上記のような変形労働時間制です。ただし、この事業場外みなし労働時間制というのは(詳しく知らないが)適用の要件はとても厳しいそうです。
具体的には

  • 正確な業務時間を把握するような仕組みをどうしても構築できない。
  • スケジュールなどが決まっている労働の場合は労働時間が把握できると判断され適用できない。
  • リアルタイムな命令に反応することを求めない。

などなど、Webで調べるとざっとこんな感じでした。
つまり、事業場外みなし労働時間制が適用される労働は限定的ということです。
この点、企業Aでは

  • アルバイトを雇用しており、アルバイトは時給の管理ができていた。(正確な業務時間を把握する手段がある。)
  • 日程が固定されているミーティングや出張、イベントが多数あった。
  • リアルタイムな顧客対応の電話や、メッセージなど、即時性のある対応を求められる、また当該時刻には業務している必要がある場合が多数あった。
  • リアルタイムに返信できない場合、その旨叱責されることが多数あった。

という状況であり、私の見解では事業場外みなし労働時間制は適用できなかったのではと思います。

長時間の残業と拘束時間

システムが短納期ということもあり、残業時間は月160時間を超えることが常態化していました。
10:00から勤務を開始して、休憩を挟みつつ、退勤するのが翌朝3:00という日々が3ヶ月以上続きました。
つまり、自宅に着くのがAM4:00ぐらいであり、自宅を出るのがAM9:00ごろとなります。睡眠時間が短いことが常態化していました。
土日祝日の休みはありません。(実際に業務多すぎてとれない。) 本番適用の場合は徹夜もありました。

  • ほぼ1日を要するミーティング(11:00 ~ 20:00)が週1日
  • 時々ある営業同行
  • 半年に30回程度の地方出張を伴うイベントの運営業務(地方のため、ほぼ前日入りの必要あり。)

上記のため、システム開発の時間の確保が難しく、どうしても残業時間が長くなります。

ここで、残業時間と強調していますが、拘束時間はもっと長いものになります。
具体的には、出張にともなう移動時間は残業時間に加算していないからです。
法律上、移動時間は労働時間に加算しないことになっています。
そのため、先ほど記載した残業時間160時間には移動時間は含んでいません。純粋に作業やイベントの運営をした時間だけで計算しています。
そのため、拘束時間 はもっと多くなります。

※移動時間が労働時間に含まれないのは、移動時間は業務命令が届かないからという理屈のようです。実際には移動中も作業できるし、電話対応、業務命令が届いています。

残業代、休日出勤、深夜勤務手当の不払い

事業場外みなし労働時間制は適用できない場合、残業代、休日出勤、深夜勤務手当が支払われるべきです。
※雇用契約書にはこれら支払うことが記載されています。

実際にはそれが支払われていません。

パワハラ

この点、パワハラといえるのか微妙なラインですが、決め手となったのは深夜2時に仕事が期日までに終わらなければ給料を振り込まないという脅しが社長からあったことです。

抑うつ状態

実は、体調を崩したというのは抑うつ状態となったことです。最近もたびたびニュースで聞かれるようになっていますが、それに私もなってしまいました。
私の場合、長時間労働やその他のメッセージにより、数ヶ月前から精神がおかしくなっていましたが、先ほど記載した深夜の仕事が期日までに終わらなければ給料を振り込まないによりついに病院送りとなりました。

申立書の用意、具体的に何を記載したか

さて、上記理由で退職したことを申立書にてハローワークに伝える必要があります。
申立書はフォーマットが決まっており、あらかじめハローワークから受け取っています。
A4の紙1枚に、8〜10行程度の申し立てを書くことができました。

具体的には、以下のような内容の申立書を作成して提出しました。 ※実際に提出した内容と一致していません。(コピーもないため。)
しかし、概ね下記のような内容です。

私が退職した理由は、多くの出張による長時間拘束および長時間労働により体調を害したこと、
また、事業場外みなし労働時間制となっておりますが、出張の増加等による作業時間の確保が難しくなり、
休日や深夜勤務が常態化しておりましたが、
休日出勤や深夜残業手当が支払われていないためです。
そのため、退職理由を会社都合に変更していただきたく、異議申し立てを致します。

会社都合に変更と申し立てを書きましたが、実際には後日正当な理由のある自己都合退職への変更となりました。当時は制度に対する理解がもっと乏しかったのです。

ここではパワハラに関することは含めていません。証明できる資料を準備できないためです。

そのため、申立書にはどうしようもない場合を除いて客観的に証明できる内容を軸に書きました。
この点はこれから書く方、まだ在籍しており、証拠を集める必要があるかたは参考にしていただければと思います。
具体的には、可能な方はメッセージのスクリーンショットやメールの印刷など、証拠を保存しておくことをおすすめします。

新しい離職理由を証明する資料の準備

申立書に記載した内容が確かに事実であることを確認するための客観的な資料を用意する必要がありました。
その際、私は以下の資料を用意しました。

  • 不適切な労働契約と各種手当ての不払いに対して→雇用契約書のコピー3ヶ月分の給与明細のコピー
  • 長時間労働に対して→利用していたコワーキングスペースの入退出履歴と、保存していたGitのコミットログ(作業ログ)
  • 出張やイベントによる長時間拘束に対して→旅程表(Rakutenトラベルなど)イベントのスケジュール

そして、長時間労働についてはコワーキングスペースの入退出履歴とGitのコミットログを元に、3ヶ月分を集計した結果を別途添付しました。
結果として、システムのアクセスログ、およびコワーキングスペースの入退出履歴が膨大だったため、300枚程度の資料になってしまいました。
なお、提出は紙で行うため、資料は印刷する必要がありました。 コンビニのコピー機で行うことは現実的ではなく、私の場合はPDF化して業者に印刷を依頼しました。

実際はこれほど大がかりな資料は不要だったのではと思っております。しかし、できるだけ資料はたくさんあった方が良いという職員のアドバイスからできるだけ多くの資料を用意しました。

やはり、何かあったときのために、自衛のために各種ログを保存しておくことはとても重要だと実感しました。

雇用保険の説明会への参加

2019年4月15日、雇用保険の説明会へ参加しました。
そして、その際にあらかじめ用意した申立書と資料を提出しました。

ちなみに説明会の内容は簡単に以下のようなものでした。

  • 雇用保険の制度に関する説明。
  • 不正受給は必ず見つかるので避けること。
  • 不正受給の際の罰則について。

そして、次のアクションとして、2019年4月24日の認定日があります。
認定日とは、「その日は確かに失業中であり、かつ、積極的に再就職活動をしている」ことをハローワークに証明し、確認を得る日です。
雇用保険の失業給付を得る場合は必ずその日は決められた時間にハローワークに来所する必要があります。 (正当な理由がある場合を除き。)

しかし、私はとある事情があり、認定日に来所することができませんでした。

認定日の来所

私は2019年4月15日の説明会の前から、少しずつ再就職活動を始めていました。
そして、嬉しいことに2019年4月16日(説明会の次の日)、内定をいただくことができました。
さらに、2019年4月17日(内定をもらった次の日)から内定をいただいた企業に業務委託契約にて仕事ができることになりました。

認定日に来所できず

失業給付の関係上、認定日には必ずあらかじめ決められた時間にハローワークに来所し、現状を報告、確認してもらう必要があります。
私も認定日の2019年4月24日は休みをもらえるよう相談したものの、その日はとても重要な仕事があり、休みをいただくことができませんでした。

私としては、来所しなければならないと考えていましたが、経済的な不安から認定日は仕事をし、その代わり翌日の2019年4月25日に来所することにしました。
なぜかというと、離職理由が変更申請が却下された場合、3ヶ月の給付制限がかかることになります。その場合、経済的に困ってしまう可能性があるからです。
内定をもらっていたものの、急な退職となって収入が途絶えたため、各種支払いもそのまま継続し、経済的に困窮する可能性が見えていました。

4月分の収入が0円になってしまった場合、再就職先での給料日までを考えると約2ヶ月くらいは収入が無くなります。
これは非常に心配だったため、働くことを優先してしまいました。

認定日の次の日に来所、またまた申立書

まず、来所できなかったことを証明するための申立書と資料を提出するよう、職員からお話しがありました。 申立書には次のような内容を記載しました。
※こちらもコピーがないのでおおよその内容となります。

私は4月24日は業務委託による仕事をしていたため、来所できませんでした。
私は離職理由の変更を申請していましたが、その判断に時間がかかる、もしくは却下になり給付制限が解除されない場合、経済的に生活が困難になる可能性がありました。
また4月24日は委託先で重要な業務があり、来所のための時間をいただくことができませんでした。
上記を考慮し、4月24日は来所できず、4月25日に来所しました。

申立書に加え、業務委託契約の契約書のコピーを提出し、働いた日と時間を事実を正しく申告しました。

一般的には、仕事があったという理由は認定日に来所しないような正当な理由とならないでしょう。事前に説明がありました。
しかし、私の場合は給付制限が解除されるか不透明でしたし、急な失業により金銭的な準備ができていません。
そのような事情を考慮していただけるかどうかは分かりませんが、正直に申告することとしたのです。
※実際には、個別の事情が全くことなるため、案件ごとの判断があると思います。

離職理由の変更確定

さて、2019年4月25日にハローワークに来所したわけですが、その日、離職理由が変更になったことを知りました。
具体的には「正当な理由のある自己都合退職」(離職理由コード33)への変更となり、給付制限が解除されました。
そのため、少なくとも2019年4月24日までの分については、給付が受けられるとの案内がありました。

失業給付の振り込み

実際に失業給付が振り込まれたのは2019年5月7日でした。
私の場合、収入のあった日については計算から除外されたのと、早期に内定をいただいたこと、7日間の待機期間(失業したから7日間は失業給付が受けられない)があったため、実際に振り込まれた額は3万円程度でした。
ですが、金銭的な心配があったため、3万円はとても大きい額に感じました。
特に、業務委託にて仕事をした分の給料は2019年5月31日に振り込まれることになっていたため、4月〜5月下旬まで無収入となります。
その期間に使うための大切な3万円となりました。

このとき、この社会の仕組みにとても感謝したのと同時に、これから頑張って働いて社会に貢献していかないと、と気持ちを新たにしました。

再就職手当

失業給付は、あらかじめ条件により定められた期間、定められた1日あたりの金額をもとに支給されます。
では、「できるだけ失業給付を満期まで受け取ってから再就職を決めた方が良いのでは??」と考える人がいるのではと思います。

しかし、失業給付は、失業者から経済的な不安を取り除いて、できるだけ安定した雇用を探すために、急がず、でもなるべく早く再就職を決めてもらう、という意図があるそうです。
そのため、長く受給してもらうことは本来の目的に反するので、早く再就職を決めた人は、一定の割合でこれから受給するはずだった給付を受け取ることができます。

そして、それが再就職手当です。

再就職手当の手続き

手続きは郵送で完了します。
具体的には、事業主から正式に雇用した証明を書いてもらう必要があります。(受給者が会社にお願いして書いてもらい、それを返却してもらってハローワークに郵送する。)
その他、雇用保険受給資格者証を合わせてハローワークに簡易書留で郵送します。

再就職した日から1ヶ月以内にハローワークに郵送する必要があります。
しかし、ハローワークの職員によると、実際には会社が調査に時間がかかったりすることもあるため、1ヶ月以内というのは厳守ではなく、なるべく早いほうがいいものの、1ヶ月過ぎてしまってもまずは送ってくださいとのことでした。

私の場合は、2019年5月27日ぐらいに、ギリギリ会社から返却され、ハローワークに手続きのための提出物を簡易書留で郵送しました。
通常、審査に1ヶ月程度要するとのことです。

再就職手当の給付

私の場合、2019年4月24日の認定日に来所できなかったこともあり、その申し立てが正当と認められなければ再就職手当は受給できないと言われていました。
しかし、2019年6月19日、再就職手当が給付される旨郵送で通知があり、実際に振り込まれました。
30万円程度振り込まれました。

やはり、1ヶ月収入が途絶え、かつクルマのローンや保険、家賃、税金、年金の支払いが継続してるため、口座残高は低空飛行しており、「もしも」 があると大変な状況でした。
その中で、30万円の再就職手当が振り込まれたことは大変大きく、やはり、この社会の仕組みに感謝せざるを得ませんでした。

現在、2019年6月末日ですが、まだまだ講座の残高は回復していませんが、少しずつ以前の生活を取り戻しつつあります。

おわりに

私が離職理由の変更の申請をしてから、失業給付、また再就職手当が給付されるまでの約2ヶ月の体験記を紹介しました。
まずは、このような制度のおかげで、「失業状態からまた安定して働けるようになった」ことに感謝しています。
今回、一番思ったことはこの制度と社会に対する感謝でした。

そして、今まさにブラック企業で勤務していて悩んでいる人、どうしようもなく自己都合退職してしまい、先行きに困っている人が適切に制度を利用して、現状から脱却し、新しい良い生活を手にできることを願っています。

f:id:hitoridehitode:20190630165348j:plain